バタバタバタっ!!
穏やかな眠りは騒々しいまでの足音で破られた。

「シャ、シャドウっ!!??」

覚醒しないままに布団ごとゆさゆさと揺さぶられる。
ゆるりと目を開いてベッドの近くにある置時計を見遣れば、起きるにはまだ早い時間。
予定を狂わされたことによって、シャドウの眉が顰められた。

「…何だ。まだ起きる時間ではないだろう」
「それどころじゃないんだっ!ほら、よく見ろよ!」

思いっきり上掛けの布団を剥がれた。
冷気が襲ってきて、思わず膝を抱えて丸くなる。
視界に入るのは、見慣れた漆黒の肢体ではなく、なだらかな肌色。
整えられた手入れの行き届いた指、すらりと伸びた細いがきちんと筋肉のついた肢体。

思わず起き上がり声の主を見遣る。
あどけない大きく開かれた金色。
幼さを残した柔らかそうな肢体に掛かる、白銀の細い髪。

「起きたらこんなんなってて、シャドウもそうなってるかもって思って…」

どうしたら良いか解らずに、膝を擦り合わせてシルバーは俯く。
白銀の毛並みが肩口までの黒朱に混じって絡まった。


理由など知らない。
何時戻るのかも解らない。


そう告げたら目の前の存在は更に困った表情を浮かべるのだろう。
それはそれで面倒くさいのだ。どうにかして気分を逸らさなければ。

ふ、と思いつく。
そういえば、普段は気にも留めないことだが、
ヒトは衣服を纏うものである。
普段から衣服を身に着ける習慣など持ち合わせていないのだから、
当然今の状態はそれなのである。

つ、とシルバーの育ちきらぬ肢体へ指を伸ばした。
柔らかな背中のラインを指でなぞる。
慣れない感覚にシルバーの身が縮こまった。

「えっ、ちょ、シャドウ…!?」
「静かにしていろ。ソニックが起きたらどうする?」

あの奔放な青のことだ。今己と同じ状況なら、こっちに駆けて来るだろう。
この状況を見られても良いのか?と問えば、ぐ、と詰まる。
既に手中に落ちたも同然だった。無意識に笑みが口端に浮かぶ。






 丁度良い。ヒトという生物の身体と、僕達の身体。
     どちらがより楽しめるのか、知りたかった所だ。







さあ、お楽しみは、これから。








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